Sound sketch

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黒人教会を訪ねたあとすぐに向かったのは、ニューヨークの音楽の殿堂、カーネギーホール。
1891年に建てられたこのホールは、これまでにあらゆるジャンルの巨匠たちが演奏した場所。
ロビーの至る所に彼等のサイン入りのポートレイトが飾られており、また世界中から寄贈された歴史的な作曲家の自筆譜、手紙などがさりげなく展示され、さながら博物館のような趣でした。

今回はピアニストGarrick Ohlssonの演奏を聞いてきました。
彼が日本でどのくらい知られているかというと、アルゲリッチやラン・ランのような知名度とは違うと思いますが、
1970年の第8回ショパンコンクールの優勝者として彼の名前を知っている方もいるかもしれません。(参考までにこの第8回の二位は内田光子さん)

実は私が幼い頃、家のステレオではじめて耳にしたショパンは彼の弾くポロネーズで、
彼の歌い方、華やかなのに圧制した印象を与えない彼の演奏が大好きで、今回時を経て彼の演奏を聞けることを心待にしていました。

前のハーレムからの移動で、最初のBeethoven の後期のソナタ30番 op.109はロビーでこぼれる音に耳を澄ませるばかりでしたが、その音色の輝きは時を経ても変わっておらず、このあとの演奏に期待が膨らみました。
Schubert は 幻想曲 D.760、休憩を挟んでGriffes(20世紀アメリカの作曲家)の Roman Sketchesから3曲、そしてChopin のソナタ三番という内容の濃い選曲。

彼の演奏は音色が綺麗なのですが、今回聞いた演奏ではさらに柔らかさと軽さが際立っていました。
どんどん自由になっていくような解放感、内容の濃い選曲なのに疲れを聞き手に与えません。
シューベルト、ショパンの曲に時々見られる右手の細やかな即興的な動きはまるで音が線を描いてたなびいているようで、他のお客さんも口々にbrilliant! と興奮した様子。
最後のアンコールはショパンのワルツ、華麗なる大円舞曲とcis moll(嬰ハ短調)の二曲。
彼のお茶目なキャラクターがワルツに引き出され、スタンディングオベーションにつつまれて温かい終演でした。

このような場所で演奏を聞けたことでも大変な喜びだったのですが、今回ご覧のように上の階のバルコニーという席をとっており(写真は休憩中の調律の風景)、本当ならピアノが見えない位置の席だったところを、見ず知らずの方がさらりと前方の席と代わってくださいました。そのお陰で演奏中の彼の手元も見られるという幸運に恵まれたのです。
粋な紳士に感謝。幸福感に包まれてカーネギーホールを後にしました。

TOMOYO


12. 2月 2014 by Tomoyo
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